ひっかかる形状、どう金型から取り出す?

あらためまして、設計の片野コウゾウです。
前回は設計前の検証に近い内容だったけど、ここからが本格的に設計者の腕の見せ所やね。
まず最初に、「アンダーカット」っていう金型から取り出せないひっかかり部分が製品にある場合そこをどう対処するのか?を考えるんやけど…
とりあえずはその「アンダーカット」のことをしっかり説明しておいた方が良さそうやな…
ぢゃあその説明はアンダーカット大好きシモダくんにしてもらおか。
シモダくんよろしくな~

アンダーカットを金型でどう処理する?

アンダーカットを解決する方法はいくつかありますが、代表的なものは2つ。「スライドコア」と「傾斜コア」です。

どちらも金型の一部を動かして金型から取り出す方法ですが、製品のどこにアンダーカットがあるかで使い分けます。
外周のひっかかりの解決法「スライドコア」
では、まず「スライドコア」についてです。

スライドコアはアンダーカット部分を別部品にしておいて、「横にスライドさせて」外す仕組みです。
金型が開いているとき、もしくは開閉と同時にスーッと横に動かすイメージです。

【方法1】「アンギュラピン」を使って、型が開くのと同時に動かす


【方法2】「油圧シリンダー」などで好きなタイミングで動かす


スライドコアの難しい点

スライドコアは横にスライドさせる“スペース”が必要なので、製品の外側などに使われます。
そこは成形するたびに動く部分となりますが、金型本体と別部品になるので、必ず割線ができる訳です。
スライドコアが動きやすいように本体との隙間を広くし過ぎると「バリ」が出ますが、「バリ」が出ないことだけ考えて狭くしすぎるとスムーズに動かなくなってしまうので、「スムーズに動くけどバリが出ない」絶妙な調整が必要です。

また、成形するとき、金型の中を流れる樹脂の力は非常に強いので、スライドコアが動いてしまわないよう、成形機の型締力…つまり金型をギュッと締める力でしっかり固定する設計が欠かせません。
あ、一気に話し過ぎたので、傾斜コアに関してはまた次回(笑)
まとめ

「スライドコア」は金型を設計の難関「アンダーカット」攻略にめちゃくちゃ有効な方法の1つや。
実際に成形時に動いてるスライドコアを見ると、金型の「奥深さ」を目の当たりにできるで!
次回はまた別の方法、「傾斜コア」をシモダくんが熱く語ってくれるでー。楽しみにしといてや~要チェックや!